賠償金の計算方法
ここでは賠償金の計算方法の中身について、ご説明します。
保険会社との示談交渉において、示談の提案書を示された場合、普通、被害者は「見方が分からないし、その提示額が妥当なのかよくわからない」という状況に陥ります。
保険会社は、当然、数多くの賠償請求の交渉ノウハウを持つプロですから、「いかに、この提示額が妥当であるか」を上手に説明してきます。
しかし、前にも述べました通り、多くの場合、示談提案書は①自賠責基準、②任意保険の基準を元に作成されているため、③裁判所の基準よりも低いことが多いのです。
更に、保険会社は、できるだけ賠償金額の支払いを少なくするために、各項目の計算の部分でも、自社に有利なように解釈して計算することがあります。
まずは、主な賠償金の項目をご覧ください。説明の都合上、怪我で入通院された場合を前提にし、また物的損害は省略しています。
主な賠償金に関する項目
財産的損害 |
積極損害 |
①治療関連費 |
治療費、通院交通費、付添看護費、将来の手術費などをいいます。 |
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消極損害 |
②休業損害 |
事故で休業した期間の収入をいいます。 |
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③逸失利益 |
後遺障害により労働能力が失われたことによって将来得ることができなくなった利益(収入)をいいます。 |
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精神的損害 |
慰謝料 |
④傷害慰謝料 |
事故により負傷した被害者が受けた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料で、入院・通院期間、怪我の状態を基に算出されます。 |
⑤後遺障害に対する慰謝料 ※後遺障害が残った場合 |
後遺障害による精神的苦痛に対する慰謝料で、後遺障害の等級や年齢、性別、職業などを基に算出されます。 |
保険会社は、提示した賠償金の内訳として、上記のような損害の種類と具定例を説明し、各損害の金額がいくらで合計いくらになりますという説明をしてきます。しかし、例えば、治療費や通院日をどこまで認めるか、逸失利益算出のもととなる収入や期間について、保険会社に有利な解釈に基づいた計算を行っているのが通常です。
保険会社から流麗に各項目の説明を受けると、「そういうものなのかなあ」と思ってしまう方も多いのですが、急いでサインをしなければならない理由はありません。「検討します」と言って、回答を保留し、専門家に相談すれば良いのです。
「示談の提示が届いたが、見方が良く分からない」「保険会社の担当者から一応説明は受けたが、妥当な額なのか分からない」「賠償金額の内容に納得ができない」など、保険会社の提示に関して不安やご不満がある場合には、一人で悩まず、まずは弁護士にご相談されることをお勧めいたします。