過失割合・過失相殺とは?

photo2883過失割合とは、交通事故の責任(落ち度)が加害者と被害者にそれぞれどの程度あるのかを割合として示したものです。

過失相殺とは、被害者の過失割合に応じて、被害者の損害賠償額を減額することをいいます。

過失相殺の適用範囲は広く、治療費や休業損害、逸失利益、慰謝料など、請求対象のすべて減額されてしまいます。

過失割合・過失相殺の問題は、交通事故の示談や裁判でもっとも争点となることが多い、難しい問題です。

被害者にとっては、突然の事故に巻き込まれてしまって、「どうして私が・・・」「なぜ、うちの家族が・・・」と思っておられる中で、例えば「過失割合3割」などと言われると、「ふざけるな!」という気持ちになるのも無理はありません。

しかし、交通事故の損が賠償においては、実際には裁判になった場合も、「過失割合が10対0」というケースは停車車両への追突などの場合を除いて、殆どありません。

交通事故の損害賠償額は、被害者の過失割合について減額されますので、例えば、1000万円の損害で被害者の過失割合が40%となると、1000万円-(1000万円×40%)の600万円の支払いを受けることになります。すなわち、過失割合によって、受けられる賠償額が大きく変わってしまいます。

実際の交通事故例で説明しますと、例えば、大きな幹線道路のように道路幅がかなり広いため横断歩道の中間地点に安全地帯が設けられてある横断歩道において、歩行者用信号が点滅し始めた段階(または黄色信号)で横断を開始した(その後間もなく赤に変わった)歩行者が安全地帯を通過直後に、青信号に切り替わったので直進してきた車が衝突してしまった場合、被害者側にも信号が点滅段階で横断を開始し、事故が発生する危険を冒したといえ、被害者側にも原因があるといえると評価されます。

この例では、過失割合は被害者(歩行者)40%、加害者(運転手)60%となりますので、歩行者の損害額が1,000万円だとすると、最終的な金額は600万円になります。

過失割合は誰が決めるのか

先にあげた例のように、事故のあった現場状況や事故時の様々の要因によっては、大幅な過失相殺を甘受せざるをえない場合があります。もちろん、この例でも歩行者が横断し始めたのが青信号の時で、まだ点滅し始めていなかった、となると、過失割合は全然違ってきます。

それでは、過失割合とは誰が決めるものでしょうか。

過失割合は保険会社との示談交渉時に、保険会社から提示されるケースが多いでしょう。そのため、過失割合は保険会社が決定するものと勘違いしてしまう方もいますが、保険会社が一方的に決めて良いものではありません。

示談の段階では、保険会社と被害者が話し合って過失割合を決めることとなります。しかし、本来被害者に過失がないような事故でも、保険会社は少しでも被害者の過失を求めようとし、話し合いがまとまらないことも多いでしょう。残念ながら、なかには、そもそも交渉に応じようとしない保険会社さえ存在します。

話し合って合意できなければ、保険会社の提示した過失割合となってしまうことはなく、裁判を起こして裁判所の判決で決定することとなります。

従って、過失割合は、最終的には裁判所が認定するものです。

過失割合の認定基準

過失割合は、最終的には裁判所が認定します。従って、保険会社と話し合ってその過失割合に納得できれば問題ありませんが、納得がいかない場合(そのようなケースが多いと思われます)には、まずは正しい認定基準を知り、それを根拠に交渉していく必要があります。

裁判においては用いられる認定基準は、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 平成26年全訂5版」(東京地裁民事第27部(交通部)編、別冊判例タイムズ第38号)という書籍や、公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部編「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称『赤い本』)」という書籍に書かれています。

これらの書籍を購入して知識をつけるのも一方法と思われます。

ただし、これらの書籍は、基本的に法律専門家向けに書かれたものであり、当事者の属性、事故類型、事故の場所や時間帯等で細かく類型化・基準化がなされており、一般の方がそれを正確に理解し、ご自身の過失割合を正確に把握することは難しいのではないかと思われます。

当事務所にご依頼されるメリット

当事務所が交通事故案件のご依頼を受け、過失相殺を争う場合には、人身事故の場合には、速やかに実況見分調書のコピーを入手し(なお、実況見分調書のコピーは被害者ご自身でも取り寄せできます。)、さらに刑事記録を入手して、現場状況の把握に努めます。また原則として、依頼者の方と一緒に現場に向かい、事故状況を再現する等して、当該事故類型の把握、修正要素について検討します。

また、交通事故は一瞬で起こるため、加害者のみならず、被害者の記憶も定かでないことが多くあります。

裁判でも、相手に気づいた時点や、信号を確認した地点、ブレーキをかけた時点、衝突地点、衝突方向などで争いになることがよくあります。

当事務所弁護士は、元保険会社の交通事故案件を数多く手がけた経験から、事故分析の豊富な経験があります。

自動車の損傷痕状況、破損物の落下状況、被害者の転倒方向、スリップ痕など事故の痕跡から事故状況を再現してゆきます。

このような手間暇をかけて初めて正確な事故状況を把握でき、正確な過失割合を把握できるものと確信しております。

過失割合は金額を大きく左右する部分ですので、過失割合について、納得がいかない場合は、正確な知見を有する弁護士に是非ご相談下さい。

なるべく早めに弁護士に相談することで、裁判になった場合を見据えた証拠の準備から示談の方向性までトータルでサポートすることが可能になります。

お困りの際は、一人で悩まず、まずは一度弁護士に相談することが大切です。


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